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百聞は一見に如かず 共和党大会で体感した16年間の変化 ポトマック通信

産経ニュース 2024年8月7日 7時0分

米中西部ウィスコンシン州で開催された共和党全国大会を先月、取材した。共和党大会の取材は2008年以来だが、16年の間の変化に気づかされた。

まず参加者の人種の多様性だ。マケイン上院議員を大統領候補に指名した08年は白人中心の党という印象で、オバマ氏を指名し黒人初の大統領誕生へ動き出した民主党とは対照的だった。

今年はトランプ前大統領の応援演説にスコット上院議員、ドナルズ下院議員ら黒人政治家が相次ぎ登壇。ヒスパニック(中南米系)の党員は「私は合法的移民」と自己紹介し、記録的な不法移民の流入を許したバイデン政権を批判した。民主党がかつて独占していた人種的少数派への党勢の広がりをうかがわせた。

一方、キリスト教の祈祷(きとう)や宗教指導者のスピーチが目立ち、メガチャーチの礼拝と錯覚する場面も。世俗化が進むリベラル派に対抗するキリスト教右派の影響力は着実に強まったようだ。

ただ、トランプ氏が指名受諾演説を終え、家族らと舞台に立つクライマックスでは、2、3階席の大半が立ち去った。銃撃事件後の同氏への熱狂もこの程度かと思わされる瞬間だった。

共和党は「トランプ党」化が指摘されるが、長い目で見た同党や保守層の潮流の一端を体感し、百聞は一見に如(し)かず、だと思った。(渡辺浩生)

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