【ワシントン=渡辺浩生】トランプ米次期大統領は27日、1期目にペンス前副大統領の補佐官(国家安全保障問題担当)などを務めたキース・ケロッグ退役陸軍中将(80)を大統領補佐官兼ウクライナ・ロシア担当特使に指名すると発表した。トランプ氏はロシアの侵略が続くウクライナの早期停戦を提唱。ケロッグ氏はトランプ氏が就任後に両国に呼びかける停戦交渉を主導する役割を担う。
ケロッグ氏はトランプ政権1期目で国家安全保障会議(NSC)首席補佐官も務めた。外交や安保担当の閣僚や高官が相次ぎ交代した中で、4年間を通じて正副大統領の助言役を担い、トランプ氏の信任を得たとされる。
トランプ氏は声明で、「彼は始まりから私と一緒にいてくれた」と評価。ケロッグ氏とともに「力による平和を確保し、米国と世界を再び安全にする」と強調した。
ケロッグ氏は現在、トランプ氏に近いシンクタンク「米国第一政策研究所(AFPI)」安保担当共同代表。トランプ氏の副補佐官を務めたフレッド・フライツAFPI外交政策担当代表とともに、ウクライナ和平案をまとめ、トランプ氏側に提案したとされる。
ウクライナにはロシアとの停戦交渉に応じるまで兵器供与を保留すべきだとする一方、ロシアが交渉を拒めばウクライナ支援を増強するとして圧力を加えるものだ。
政権移行チームは①ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を最低20年間禁止②それを条件に米は露軍再侵攻を抑止する軍事力提供を約束③停戦ラインに非武装地帯を設け軍事監視団を派遣する-との和平案を作成したが、ケロッグ氏の提案が土台をなしているとの報道もある。
ケロッグ氏は今年5月に本紙取材に応じ、トランプ氏が「就任後24時間以内に戦争を終わらせる」と唱えた停戦交渉について、「就任後、比較的早期に受話器を取って指導者らと対話を始めるだろう」としたうえで、「彼はやると言ったことはやるだろう」との見通しを語っていた。