【ワシントン＝坂本一之】米民主党は２日、１１月の大統領選に出馬する党候補を正式指名するオンライン投票でハリス副大統領（５９）が過半数を獲得したと発表した。大統領選の投開票日（１１月５日）が３カ月後に迫る中、ハリス氏の党候補指名が確定し、返り咲きを狙う共和党候補、トランプ前大統領（７８）との短期決戦に号砲が鳴った。
ハリス氏は２日、党候補指名の確定を受けて「光栄だ」と述べ、「すべての人々にとっての米国の自由や正義を信じている」と支持拡大への協力を求めた。
ハリス氏は６日の東部ペンシルベニア州を皮切りに中西部のウィスコンシン州やミシガン州など選挙戦の行方を左右する接戦７州を副大統領候補と回り、無党派層などの票獲得を図る。世論調査でハリス氏とトランプ氏の支持率は拮抗（きっこう）しており、両陣営が接戦州のテコ入れに注力している。
民主党はバイデン大統領（８１）の出馬辞退を受けて全米各州の代議員らによるオンライン投票を１日から５日に実施。立候補資格を満たしていたのはハリス氏だけで、事実上の信任投票となっていた。主要政党で女性が大統領候補に指名されるのはクリントン元国務長官に続いて２人目。黒人・アジア系の女性としては初となる。
ハリス氏は近く副大統領候補を発表する予定で、ペンシルベニア州のシャピロ知事（５１）らが有力視されている。
民主党は中西部イリノイ州シカゴで１９～２２日に党全国大会を開催し、ハリス氏と副大統領候補に対する形式的な投票を行う。ハリス氏は指名受諾演説などで挙党態勢を構築し、１１月に向けて弾みをつけたい考えだ。
トランプ陣営は２日、民主党が党員らの一般投票を経ずにハリス氏を党候補指名することを踏まえ、「共産中国をほうふつさせるプロセスだ」と指摘。民主党がトランプ氏を民主主義の「脅威」と攻撃してきたことを逆手に取り、「民主党こそが真の民主主義への脅威だ」と批判した。