【ワシントン=塩原永久】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が15日、現職大統領として初めて身柄拘束された。トランプ次期米政権は中国や北朝鮮の脅威を踏まえ、韓国、日本との3カ国協力を強化したバイデン政権の路線を引き継ぐ見通しだ。ただ、韓国の政権交代含みの混乱は、政権移行期の米国にとっても大きな不安要素となる。北朝鮮が隙をついて韓国への挑発行動に出る恐れも指摘される。
トランプ次期政権の大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に就くウォルツ下院議員は14日、日韓や日比などの同盟国との「関係強化を継続」する方針を示した。現政権のサリバン大統領補佐官も同席した討論会で述べた。ウォルツ氏は同盟国・友好国との協力拡大に取り組んだ現政権を「評価する」と言及した上で、政権移行に向けてサリバン氏と意見交換していると説明した。
トランプ次期大統領は自国の軍事費を軽減するため、同盟国に対する負担拡大を求める立場を強調している。問題は、韓国で対米関係に冷淡な左派政権が誕生し、韓国に安全保障の役割拡大を求める米国と「衝突する恐れが出てくる」(ヘリテージ財団のクリングナー上級研究員)ことだ。
北朝鮮寄りの韓国左派政権が対北圧力の維持を目指す米国に反発するシナリオも見込まれる。そもそも、トランプ氏は第1次政権時、北朝鮮に融和的だった文在寅(ムン・ジェイン)大統領(当時)に不信感を抱いていたとされる。
米国の政府高官や専門家には、北朝鮮が韓国の不安定化に付け入り、軍事挑発に出る懸念があるとの見方も根強い。