トランプ次期米大統領の支持者には格闘技関係者がずらりと顔を並べている。総合格闘技団体UFCの最高経営責任者(CEO)を務めるダナ・ホワイト氏や元人気プロレスラーのハルク・ホーガンさんのほか、第1次トランプ政権で中小企業局長だったリンダ・マクマホン氏もその一人だ。
トランプ氏は8月、第2次政権発足を円滑化するための政権移行チームを発表した。副大統領候補のバンス上院議員に加え、トランプ氏の長男ジュニア氏と次男エリック氏も名誉議長として参加し、「トランプ一族主導」の色彩が鮮明となった。その一方でチームの実務上のトップはリンダ氏と金融・投資企業を率いる大富豪のハワード・ルトニック氏が務める。
リンダ氏は世界最大のプロレス団体「WWE」の創業者ビンス・マクマホン氏の妻。2007年に行われたWWE最大の興行「レッスルマニア23」で目玉となったのは、トランプ氏とビンス氏の「バトル・オブ・ビリオネアズ」(10億ドル長者の戦い)と銘打たれた「髪切りマッチ」。双方が「代理人」のレスラーを立て、勝った方が相手の髪を丸刈りにするルールで、最終的にはトランプ氏側が勝利し、マクマホン氏は容赦なく髪を刈られた。
トランプ氏とプロレスの関わりは、WWE(当時はWWF)が1980年代末に急成長した際、「レッスルマニア」を2年連続で同氏所有のカジノホテル「トランプ・プラザ」で開催したことに始まり、その後も折に触れて登場。13年にはWWE「名誉の殿堂」入りした。
16年の大統領選では自らバリカンをふるってビンス氏の頭を丸刈りにする動画などが米メディア等で繰り返し流れ、トランプ氏の多彩な経歴に注目が集まった。WWEは「ワールド・レスリング・エンターテインメント」の略で、試合にはすべてシナリオが存在するとされる。同団体のCEOを務めた経験があるリンダ氏が、トランプ氏の筋書き通りに政権移行を果たせるか注目だ。