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ネタニヤフ氏が米議会で演説、ガザ「完全勝利」訴え 停戦協議に言及なく戦闘継続姿勢

産経ニュース 2024年7月25日 9時28分

【ワシントン=大内清】イスラエルのネタニヤフ首相は24日、米議会上下両院合同会議で演説し、「完全な勝利」までパレスチナ自治区ガザを巡るイスラム原理主義組織ハマスとの戦闘を継続すると強調した。バイデン政権が仲介する停戦協議には言及しなかった。イランに対抗するため「イスラエルと米国はともに立たなければならない」として中東における新たな軍事同盟の結成を訴え、イスラエルへの軍事支援強化を求めた。

ネタニヤフ氏は、イランやその支援を受けるハマスとの戦いは「野蛮と文明の衝突」だと断じ、イスラエルと米国は団結して共通の敵であるイランを打ち負かすべきだと主張。イスラエルは米国の権益や民主主義を守るため「文明の最前線で戦っている」と述べた。

また、トランプ前政権の仲介でイスラエルと一部のアラブ諸国が国交を正常化した2020年の「アブラハム合意」を発展させる形で「アブラハム同盟」を結成すべきだと主張。ガザ攻撃に抗議する米国人のデモ参加者を「イランにとって便利な愚か者」「恥を知れ」とこき下ろし、戦争犯罪などの疑いで自身への逮捕状手続きが進む国際刑事裁判所(ICC)を激しく非難した。ハマスによる昨年10月の奇襲攻撃を旧日本軍の真珠湾攻撃と同列視し糾弾する場面もあった。

ガザ停戦に向けた米国などによる仲介外交には触れず、人質解放への具体的な道筋も示さなかった。ネタニヤフ氏は25日、バイデン大統領やハリス副大統領との会談でガザ情勢を巡り意見を交わすが、停戦協議の前進は見通せない状況だ。

議場では共和党議員が総立ちでネタニヤフ氏に拍手を送ったのに対し、民主党側ではパレスチナ系のタリーブ下院議員が「ジェノサイド(集団殺害)で有罪」と書かれたカードを掲げて抗議の意を示すなど冷ややかな反応が目立った。民主党重鎮のペロシ元下院議長はX(旧ツイッター)への投稿で、外国首脳による議会演説では「最悪だった」と酷評。議会付近ではデモ隊数千人が、イスラエル国旗を燃やすなどして演説に抗議した。

ネタニヤフ氏が米議会で演説したのは2015年以来で、外国首脳では歴代最多の4度目。

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