【ワシントン=塩原永久】バイデン米大統領は15日、退任前最後の国民向け演説を行い、「わずかな超富裕層に危険なほど権力が集中している」と語った。不動産業の富豪であるトランプ次期大統領を、X(旧ツイッター)を率いる実業家マスク氏らが支える次期政権の動きに懸念を示した。
バイデン氏は1期4年の締めくくりとしてホワイトハウスで演説した。任期中の雇用創出などの功績を訴える一方、「テック産業複合体」が力を持ちつつあると述べた。
Xやグーグルなど巨大IT企業が産業界で存在感を高め、巨大な資金力を背景に政治的影響力も増していることに警鐘を鳴らしたとみられる。
巨大IT企業に対し、バイデン政権は格差是正などの観点から厳しい姿勢を示してきた。最近はフェイスブックを運営するメタが、投稿内容を事実確認する「ファクトチェック」を廃止した。ファクトチェックに批判的なトランプ氏の歓心を買うためだとの見方がある。バイデン氏は演説で「米国人が誤情報と偽情報の雪崩に埋もれようとしている」と語った。