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大谷選ばれずメッシ受章のなぜ 米「自由勲章」、選定基準は曖昧 権力者が利用と批判も

産経ニュース 2025年1月5日 15時34分

バイデン米大統領は4日、ヒラリー・クリントン元国務長官ら19人に米国の文民最高位の勲章である「大統領自由勲章」を授与した。同勲章は米国の安全や世界平和、文化活動などに貢献した人物に贈られ、故人や外国人も受章対象となる。ただ、受章者の選定基準は曖昧だ。今回もスポーツ界でサッカーのアルゼンチン代表メッシ氏が受章する一方で、米大リーグで前人未到の「50本塁打、50盗塁」という偉業を達成した大谷翔平選手に授与されなかった選定基準に対し、ネット上では疑問視する声も上がった。

外国人、物故者も受章

同勲章は1945年に制定され、「米国の繁栄、価値観、安全、世界平和、その他の重要な社会的、公的、私的活動で模範的な貢献をした」人物を対象に授与する。受章者の決定は、推薦などを参考に大統領が行う。日本では米国版「国民栄誉賞」に相当すると表現されることもある。過去には、ポーランド人初のローマ教皇となったヨハネ・パウロ2世や英国のサッチャー元首相など海外からも受章している。

今回の受章者では、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などで知られ、パーキンソン病と闘いながら治療研究の支援を続ける俳優マイケル・J・フォックスさん、社会貢献活動を続けてきた俳優デンゼル・ワシントンさん、ロックバンド「U2」のボーカル、ボノさん、ケネディ元大統領の弟で1968年に暗殺されたロバート・ケネディ元司法長官らが選ばれた。

今回、スポーツ界から受章したメッシ氏は、サッカーの米プロリーグMLSのマイアミに所属しながら、ユニセフの親善大使を務め、自身の財団を通じて世界の子供たちへの教育や医療プログラムに貢献したことも評価されたようだ。

一方で、大谷選手が受章できなかった理由については、現役選手は米大リーグ機構(MLB)から表彰されるためで、偉大な記録を打ち立てただけに、将来的には受章の可能性があるとみる向きもある。過去には、同じく大リーグで活躍したイチロー氏への授与も噂されていたが実現はしておらず、これまでに日本人受章者はいない。

「人気取り」許す制度設計

2019年には、当時の大統領だったトランプ氏が、男子ゴルフのマスターズ・トーナメントで復活優勝を果たしたタイガー・ウッズ氏に同勲章を授与している。

これに対し、前東京都知事の舛添要一氏はX(旧ツイッター)で、「授与の基準も曖昧だし、権力者に利用されるだけだ」と批判。「国民栄誉賞と同じ問題がある」と訴え、大衆からの人気取りを目的に受章対象者を決められると、その制度設計を問題視していた。

有識者からは、安倍晋三元首相やイチロー氏、大谷選手などは、日米関係が悪化した際の関係改善のカードとして将来的に受章候補者に選ばれる可能性があるとの分析もある。

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