【ワシントン=大内清】トランプ次期米大統領から次期政権の司法長官に指名された共和党のゲーツ前下院議員(42)は21日、未成年者買春などの疑惑で上院承認が困難となっていることを受け、「指名を辞退する」と表明した。トランプ氏は同日、パム・ボンディ元フロリダ州司法長官(59)を新たに指名すると発表した。
政敵への報復を誓うトランプ氏は、「反民主党」の急先鋒(きゅうせんぽう)で自身に忠実なゲーツ氏を司法トップに据えることを狙ったが、再考を余儀なくされた。もっとも、ボンディ氏も2020年の前回大統領選でトランプ氏が展開した根拠のない不正主張に同調するなど同氏への忠誠を貫いてきた人物だけに、承認されれば民主党要人らの訴追に向けて権限を振るう可能性は高い。
ゲーツ氏はかねて未成年者への買春や違法薬物使用の疑惑などで下院倫理委員会の調査対象となっていた。本人は疑惑を否定しているが、上院の多数派を握る共和党の内部からもゲーツ氏の適性を疑問視する声が相次いでいた。同氏は13日にトランプ氏の指名を受けた直後に下院議員を辞職している。
ゲーツ氏は21日、X(旧ツイッター)への投稿で、自身が疑惑の追及を受けることで「政権移行の時間を無駄にすることはできない」と説明。トランプ氏は同日、交流サイト(SNS)で、ゲーツ氏の指名辞退を受け入れる考えを示した。