オーストラリアで16歳未満の交流サイト(SNS)利用を禁止する法案が可決されるなど、政府によるSNS使用を制限する動きに対し、IT大手各社や業界団体は「言論の自由の侵害」などと主張し、反発している。若年層の利用減に対する警戒があり、規制の輪が広がる事態に危機感がにじむ。
豪州でSNS禁止法が可決された28日、インスタグラムやフェイスブックを運営する米IT大手メタは、豪州の法律を尊重するとした上で、「業界が利用者の年齢に応じた対策を講じていることや、若者の意見を適切に考慮せずに法案通過を急いだ」と懸念を表明した。
X(旧ツイッター)を所有するイーロン・マスク氏は22日、SNS禁止法案提出を伝えたアルバニージー豪首相のXの投稿に対し、「すべての豪国民のインターネット接続を統制する」ことになりうると批判した。
豪州と同様の子供のSNS使用を制限する法律を設ける動きは、米国でも州レベルで広がっている。こうした動きに対し、米IT大手が加盟する業界団体ネットチョイスは、各州のSNS規制法に対して「言論の自由を侵害しており違憲」とする訴訟を相次いで提起。法施行が差し止められるケースも出ている。
米ブルームバーグ通信は規制が効果を上げれば、IT企業が「広告主が重視する何百万人ものティーンエージャーという重要なユーザーグループ」を失うことになると指摘。SNSを巡る「ビジネスモデルがひっくり返される恐れがある」と言及した。(石川有紀)