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チベットの子供らへの同化政策 亡命政府関係者らが批判 「日本政府は中国に抗議を」

産経ニュース 2024年7月22日 21時24分

中国が、チベット人の子供らを強制的に寄宿制学校に入学させて推し進めている中国への同化政策を巡るシンポジウムが19日、東京都内で開かれた。来日した亡命チベット代表者議会の議員らが、中国当局による人権弾圧を批判し、日本政府や日本の国会議員に対し、中国に抗議するよう求めた。

中国によるチベット人の子供に対する同化教育を巡っては、米国を拠点とするNGO「チベット・アクション・インスティテュート」(TAI)が2021年12月、チベット自治区などの6~18歳の80万人が、家族から引き離され、寄宿制学校での生活を余儀なくされていると指摘するレポートを公表した。それによると、授業はもっぱら中国語で行われ、チベットの子供を中国人だと自覚させる政治的な教育が行われている。レポートは、4、5歳の子供が寄宿制学校に強制的に連行されているとも伝えた。

幼少期から中国への同化教育を受けたチベット人は、文化や歴史、宗教、言語といったアイデンティティーを喪失するとして、亡命チベット人コミュニティーや支援団体が懸念を強めている。

シンポジウムでは亡命チベット代表者議会のドルジェ・ツェテン議員が、TAIのレポートに言及し、日本外務省に対し、チベット人の文化や宗教を尊重するよう中国に求める声明を出すよう要請。寄宿制学校の廃止を求める国会決議の採択も求めた。

また、中国による同化政策を研究しているチベット人の教育社会学者、ギャロ博士が、寄宿制学校に強制的に入れられているチベット人の子供が100万人に達するとの独自の推計を報告した。

このほか米国に拠点を置く人権団体、スチューデンツ・フォー・フリーチベットのテンジン・ミンレ理事が、昨年11月に米サンフランシスコを訪問した中国の習近平国家主席に対して同団体が行った抗議活動について報告。チベット亡命政権の代表機関、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のアリヤ・ツェワン・ギャルポ代表は、米国で今月12日、チベット人の自決権や歴史、文化、宗教、言語的アイデンティティーの尊重を中国政府に促す「チベット・中国紛争解決促進法」が成立したことについて説明した。(原川貴郎)

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