【台北=西見由章】台湾の頼清徳総統は6日、就任後初外遊となった太平洋島嶼(とうしょ)国3カ国への訪問日程を終え、パラオから帰途についた。頼氏の米ハワイ州立ち寄りなどに反発する中国が大型の軍事演習を実施する兆候をみせる中、頼氏はパラオで記者団に「拳を振り上げるよりも、両手を開いたほうがいい。軍事演習で周辺国を脅迫しても尊敬は得られない」と語り、中国を牽制(けんせい)した。台湾の中央通信社が伝えた。
台湾の国防部(国防省に相当)は6日、同日朝までの24時間に中国の軍用機延べ16機と軍艦13隻、公船2隻の活動を台湾周辺で確認したと発表した。軍艦の数は通常の倍以上で「台湾軍関係者は(中国が)演習を実施する兆候と分析している」(自由時報)という。台湾当局者も中国軍が近く演習を行う可能性を「排除できない」と述べていた。
頼氏は初外遊で、中国が台湾との断交を働きかけている太平洋島嶼国のつなぎとめを図った。マーシャル諸島では国有航空会社が新たな航空機を購入するための優遇融資を表明したほか、ツバルとは海底ケーブル敷設での協力を盛り込んだ覚書に調印。パラオでは台湾の巡視船が参加し海難救助の合同訓練を行った。
また頼氏は立ち寄り先のハワイと米領グアムでは、「米国第一」を掲げるトランプ次期政権を念頭に米国との緊密な協力関係の維持に奔走した。米下院元議長のペロシ下院議員(民主)やジョンソン下院議長(共和)、下院民主党トップのジェフリーズ院内総務らと相次いで電話やオンラインで会談した。
頼氏はパラオで初外遊を総括し「非常に順調で、さまざまな進展があった」と自賛した。