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台湾議会、政府予算案を6%超削減 対中融和の野党主導 トランプ氏要求の防衛費増に暗雲

産経ニュース 2025年1月22日 19時18分

【台北=西見由章】トランプ米政権が台湾に防衛費の大幅増を求める中、台湾の立法院(国会に相当)は21日、行政院(内閣)が提出した2025年政府予算案を大幅に削減して可決し、前年比7・7%増となるはずだった防衛費も影響を受けた。頼清徳政権は抑止力強化のため防衛費増額に前向きだが、対中融和を掲げる中国国民党などの野党が立法院の過半数を占める中で暗雲が立ち込めている。

立法院が可決した予算削減案は、行政院が提出した予算案総額のうち6・6%にあたる約2075億台湾元(約9850億円)を減額する内容。予算削減額としては過去最大となる。このほか約2600億元分が凍結され、解除には個別に立法院の承認が必要となる。

行政院が提出した国防費(総額6470億元)については、軍事装備関連費を3%削減した。日常の訓練や通信などにあてる業務費を3割凍結したほか、潜水艦開発費の5割にあたる10億元(約48億円)や無人機開発関連費の3割も凍結した。国防費全体への影響額は明らかになっていない。

「無駄な予算を厳格に審査した」と主張する野党側に対し、柏鴻輝・国防部副部長(国防次官)は21日の記者会見で「今年は国防が後退する。(台湾の)戦力に影響し、最も喜ぶのは中国だ」と厳しく批判した。

台北の安全保障研究者も「潜水艦・無人機の開発や兵站部門、中国の認知戦への対応などに影響が出る。トランプ氏の要求に今年は応じられず、米国の圧力が増すだろう」と指摘した。

トランプ氏は昨年の大統領選の期間中、台湾が防衛費を域内総生産(GDP)比10%まで増やすべきだと発言。同氏が国防次官に指名したエルブリッジ・コルビー氏も「5%」までの増額を求めている。一方、行政院が提出した今年の予算案でも防衛費はGDP比2・5%にとどまる。

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