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中国、トランプ氏の対中関税発言に「貿易戦争に勝者いない」 対抗措置触れず、対話求める

産経ニュース 2025年1月22日 17時40分

【北京=三塚聖平】中国外務省の毛寧報道官は22日の記者会見で、トランプ米大統領が中国からの輸入品に10%の関税を課すことを検討していると表明したことに対し、「貿易戦争、関税戦争に勝者はいない」と述べた。その上で「中国は国家の利益を揺るがずに守る」と発言したものの、米側への対抗措置には触れなかった。

中国は、台湾問題など核心的利益に関わる分野では一切の譲歩を拒むという外交方針を固めているが、経済・貿易問題ではトランプ政権と対話を重ねて妥協点を見いだす構えだ。

毛氏は「米側と意思疎通を保ち、意見の不一致を適切に処理し、相互利益の協力を広げたい」と訴えた。不動産不況を背景に中国経済に勢いがない中、経済に打撃を与える貿易戦争の本格化は避けたいのが中国政府の本音だ。

中国側には、就任初日の20日にトランプ氏が予想に反し、対中関税への言及を見送っていたことから一定の安堵(あんど)感もあった。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は22日付の社説で、トランプ政権に「中国と実務協力を深め、中米関係の互恵互利に向けた新たな出発点を切り開くことを期待している」と呼び掛けた。

中国政府としては、予測不能なトランプ氏を過度に刺激しないよう慎重な発言を保っているとみられる。中国の丁薛祥(てい・せつしょう)筆頭副首相は21日、スイスで行われた世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で演説し、「われわれは貿易黒字を求めていない」と発言した。名指しはしていないものの、トランプ氏からの圧力をかわす狙いがうかがわれる。丁氏は「国外の競争力のある高品質な製品やサービスを輸入したい」とも強調した。

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