日本と中国の政財界関係者や有識者が議論する民間対話「東京―北京フォーラム」が5日、東京都内で閉幕した。主催団体が2日に発表した日中共同世論調査で双方の相手国への印象が過去最低水準となったことを踏まえ、「あらゆる対話の拡大と国民間の交流の促進にこれまで以上に本気で取り組むべきだ」とする共同声明を出した。
全体会議で、中国の呉江浩駐日大使は「中日関係は改善と発展の重要な段階にある。互いがパートナーであり、脅威にならないとの共通認識を行動に移す必要がある」と指摘。日本の金杉憲治駐中国大使はビデオメッセージで、関係前進のために若者の相互訪問が重要だとし「懸案解消と協力拡大に向け議論し、交流を後押しする」と述べた。
主催した民間非営利団体「言論NPO」の工藤泰志代表は会見で、「協力が必要な局面で世界が力を合わせられていない」とし、多国間協力には日中の協調が重要だと強調。「日中には決定的な対話不足がある。違いを乗り越えるための議論をしなければいけない」と述べ、政府が対話や交流を主導するよう求めた。
ともに主催した中国国際伝播集団の高岸明総編集長は「もうすぐトランプ米政権が始動する。新たな世界情勢の中、世界の持続可能な発展のために日中が協力できることは何かを検討すべきだ」と語った。(桑村朋)