【台北＝西見由章】台湾の最大野党、中国国民党に所属する馬英九元総統は18日、総統退任後3度目となる中国訪問へ出発した。台湾メディアによると、馬氏は中国側から招請を受け、26日まで東北部の黒竜江省ハルビンや四川省を訪問する。
馬氏はハルビンで、中国で台湾政策を主管する国務院（政府）台湾事務弁公室トップの宋濤（そうとう）主任と会談するほか、台湾の大学生らを率いて中台の若者による「氷雪祭り」に参加。旧日本軍が細菌戦研究を行ったとされる関東軍防疫給水部（通称731部隊）に関する展示施設も視察する。
中国の習近平政権は、台湾を中国の一部とする「一つの中国」原則を認めない台湾与党、民主進歩党の頼清徳政権を敵視している。国共両党に共通する抗日戦争の歴史に焦点をあて、中国に融和的な国民党との協調関係をアピールして頼政権に揺さぶりをかける狙いがありそうだ。
馬氏は出発前に空港で「両岸（中台）青年の交流を推進して平和の懸け橋とし、政治的に険悪な関係を乗り越えたい」と記者団に述べた。
馬氏は昨年3月に総統経験者として初訪中した際、1937年の「南京事件」の犠牲者を追悼する江蘇省南京市の「南京大虐殺記念館」を訪問。今年4月には北京郊外の盧溝橋と「中国人民抗日戦争記念館」を訪れ、「共通の抗日の歴史」が中台を結び付けていると発言した。