中国広東省珠海市で11日、車が暴走し多数の人が死傷した事件について、現地で取材しているTBSテレビの記者が12日、X(旧ツイッター)で「撮影していたら近所の住民を名乗る人に取り囲まれた上、警察を呼ばれ、派出所に連れて行かれて、全ての素材を削除させられました」と書き込んだ。報道によって社会不安が増すことを中国当局が警戒したとみられる。
記者は別の投稿で、「不自然に私服の市民が現場近くでたむろしていて、外国人記者を見つけると、すかさず通報」と書き込んだ。英BBC記者がスタジアム前でレポート中に中国市民を名乗る男から撮影を妨害されているニュース動画も投稿した。TBSは13日、産経新聞の取材に対し、記者がXに一連の投稿をしたことを事実上認めた。
地元警察は12日、35人が死亡し、43人が負傷したと発表した。車を運転した62歳の男を拘束した。一方、中国のSNSで事件に関するハッシュタグが検索できないなど投稿が一部制限されたり、NHK海外放送のニュース番組が12日に同事件を伝えた際に放送の一部が遮断されたりする場面があった。
記者は13日の投稿では「現場には献花に訪れる人、涙ぐむ市民もいました。現場取材の妨害もありませんでした」と書き込んだ。