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中国当局の刺激策も不動産市場に底打ちの気配なく 1~6月の開発投資は10・1%減

産経ニュース 2024年7月15日 17時18分

【北京=三塚聖平】中国国家統計局が15日発表した2024年4~6月期の国内総生産(GDP、速報値)は、物価変動の影響を除く実質で前年同期比4・7%増だった。1~3月期の5・3%増から減速した。長期化している不動産不況が景気の重荷となっている。中国当局は5月に不動産市場の刺激策を相次ぎ表明したが、本格的に底打ちする気配はまだ見られない。

5・0%程度を見込んでいた市場関係者の予測値を下回った。「ゼロコロナ」政策終了に伴う反動増という特殊要因がなくなったことも響いているもようだ。前期比では0・7%増で、1~3月期の1・5%増から減速した。

1~6月の不動産開発投資は前年同期比10・1%減と2桁のマイナスで、1~3月の9・5%減からさらに悪化した。

統計局が同日発表した6月の新築住宅価格指数によると、前月比で下落したのは主要70都市のうち64都市だった。下落は5月から4都市減ったが、依然として全体の約91%にあたる都市で下落している。中国では不動産不況が長期化しており、中国当局も対策を表明しているが反応は鈍く市況の低迷が続いている。

消費動向を示す小売売上高は1~6月に3・7%増で、1~3月の4・7%増から鈍化した。不動産価格の下落が消費を冷やす逆資産効果も指摘される。

一方、工業生産は6・0%増で、1~3月の6・1%増からわずかに縮小した。好調な電気自動車(EV)などが牽引している。工業生産や輸出は堅調に推移しているが、欧州連合(EU)が中国製EVに対する追加関税を今月上旬に発動するなど、欧米との貿易摩擦が先行きに影を落としている。

投資動向を示す固定資産投資は3・9%増で、インフラ投資は5・4%増だった。

統計局はウェブサイトで発表した報道官談話で、1~6月期の中国経済について「外部環境の複雑性や厳しさ、不確実性が明らかに増した」と指摘。一方で、外需の回復や、中国当局が掲げる「新質生産力」の進展をプラス要因として挙げた。

統計局は、GDP発表に際して恒例となっている記者会見を開かなかった。理由は説明していないが、同日開幕の中国共産党の重要会議、第20期中央委員会第3回総会(3中総会)が影響した可能性がある。3中総会の会期は18日までで、中長期の経済方針について討議する。

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