今夏、回転ずし大手「スシロー」が北京市に進出した。第1号店を開いたのは北京中心部の繁華街、西単で、初日には待ち時間が10時間を超えた。回転ずし店では珍しい個室を設けたほか、大型ディスプレーにすしが流れる様子を再現し、画面に触れることで注文が可能な「デジロー」も導入した。9月に家族で西単の店舗を訪れたが店内は満席。息子はデジローに夢中となって、すしを次から次へと注文していた。
北京は日系回転ずしチェーンの「空白地帯」だったが、今年1月には「はま寿司」も北京に進出していて活気づいている。
一方で、中国では景気減速による消費不振が深刻化しており、飲食店に入ると客がほとんどいないという光景に出くわすことは珍しくない。中国メディアによると、北京では今年1~6月、年間営業収入200万元(約4200万円)以上の飲食業者の利益総額が前年同期比で約9割減少。上海では赤字に転落したという。ミシュランの星付きレストランなど高級店の苦境が伝えられている。
厳しい経済状況下で財布のひもを締めている消費者が、コストパフォーマンス(費用対効果)を重視して日系回転ずしに集まる姿が浮かび上がる。消費行動が変化する中国市場に挑む日系チェーンの頑張りに期待したい。(三塚聖平)