【台北=西見由章】米国が2019年に台湾への売却を決定したM1A2Tエイブラムス戦車108両のうち、第1陣となる38両が16日未明、台湾北西部・新竹県の湖口駐屯地に搬入された。台湾陸軍の主力戦車は老朽化と旧式化が進んでおり、中国軍による台湾侵攻に備えて最新鋭の戦車を導入する。
戦車38両は15日、貨物船で新北市の台北港に到着。カバーをかけた状態でトレーラーに積載され、駐屯地に次々と運び込まれた。行動不能に陥った戦車を牽引(けんいん)するM88A2「ハーキュリーズ」装甲回収車4両も搬入された。
M1A2Tエイブラムス戦車は今後、25年に42両、26年に28両が台湾に到着する見通し。購入の予算総額は約405億2400万台湾元(約1910億円)。
現在、台湾陸軍の主力戦車は1994~96年に米国から計460両購入したM60A3や、450両の台湾製CM11など。有力紙の自由時報(電子版)は13日、台湾軍関係者の話として、今後、M60A3については能力向上を行い、CM11は段階的に退役させる方針だと伝えた。
また台湾の国防部(国防省に相当)は、105ミリ砲を搭載した機動性の高い装輪戦闘車両「装輪戦車」の自主開発も進めている。