【北京=三塚聖平】中国外務省は4日、タイのペートンタン首相が5~8日に中国を訪問すると発表した。今年は両国が国交を樹立してから50年に当たるため協力強化を進めるほか、タイ入国後に中国人が人身売買などの被害に遭うケースが報告されていることから犯罪対策についても協議するとみられる。
タイでは1月、中国人俳優が入国後に行方不明となって、ミャンマーで特殊詐欺の訓練を受けさせられる事件が表面化した。それにより春節(旧正月)に中国人がタイ旅行をキャンセルする動きが起きている。香港メディアによると、タイでは外国人観光客のうち国別では中国からが最も多く、中国人観光客の減少はタイの観光産業に影響を与えている。
中国側としては、「米国第一」を掲げて保護主義的な政策を進めるトランプ米政権をにらみ、タイなど東南アジア諸国連合(ASEAN)各国との関係を強化する狙いがありそうだ。タイでは中国車が販売を伸ばすなど、中国企業にとって重要な成長市場となっている。米国向け輸出の落ち込みが予想される中、中国はASEAN向けの輸出を強化するとみられる。