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NHK尖閣発言の中国籍スタッフ 「バイトテロ」単独犯の見方、在日中国人は非難「最低」

産経ニュース 2024年8月29日 17時24分

NHKのラジオ国際放送で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を「中国の領土」と主張し「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」などと発言した中国籍の男性スタッフを巡っては、NHKの待遇面に不満を漏らしていたとされる一方、仕事ぶりは「真面目」と評されている。アナウンス業務で中国の主張に沿った持論を展開するという極めて異例の事態だが、周囲の関係者は「単独犯」との見方を示している。

「愛国心を募らせていったか」

「仕事現場での評判は悪くなかった。腰は低く、言葉遣いも丁寧。だから仕事の指名も多かった」

男性スタッフを15年近く知る在日中国人の男性はこう語る。

派遣ホームページ(HP)や関係者によると、男性スタッフは49歳。中国・天津の大学で英語を専攻し、20代で来日し、東京大大学院を修了した。NHKの中国語ニュースで翻訳やアナウンス業務に関わるほか、企業や官公庁の中国向けビデオで中国語ナレーションも担当した。

香港の衛星放送フェニックステレビの東京支局でリポーターも務めたこともあり、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出が始まった昨年8月は現地でリポートを行っている。

在日中国人の男性は男性スタッフについて「反日教育が強い時代に中国で育った世代で、元々愛国心は強かったのだろう。近年中国政府も(対外的に)横柄になったが、一般の中国人にとっては、日本政府も米国などに中国の脅威を『告げ口』するように映り、愛国心を募らせていったのではないか」と述べ、NHKで給与など待遇が長年変わらないことなどへの不満も蓄積した結果、突発的に行動に出たとみている。

「在日中国人は日本で世話になっているのに…」

男性スタッフは23日に出国し、東京都内の団地の住居の荷物はそのままだという。

この問題を取材する在日外国人事情に詳しいライターの奥窪優木氏も「バイトテロの可能性が高い」と指摘した。

一方、NHKで中国語放送を一緒に担当していた在日中国人女性は、男性スタッフについて、「『尖閣諸島は日本の領土だ』と日本政府の見解をアナウンスすることに身の危険を感じていた可能性はある。彼はおとなしいので余計に恐怖を感じていたかもしれない」と振り返る。

中国人スタッフの多くはアナウンス業務に就く際、「芸名」を使うという。本名を明かすと中国で実名が特定され、SNSなどで個人情報が公開される恐れがあるためだ。実際、男性スタッフも芸名を使って仕事を募集していたケースもあった。

中国のSNS『微博(ウェイボ)』には今回の男性スタッフの行為について、職務違反を問題視する声に加え、「中国民族の英雄だ」「彼こそが本物の中国人」などと賛美するコメントも寄せられている。

男性スタッフを知る在日中国人の男性は「ウェイボで英雄視されるのかもしれないが、あの手法は知識人ではない。人としてどうなのか。ビジネス上は最低だ。経営者だったら雇わない」と述べ、「われわれ在日中国人にとって迷惑だ。(在外中国人に有事に中国政府の支持に従うよう義務付けた)国防動員法に絡み不安をあおる声もあるが、心外だ。在日中国人の多くは日本で家族と暮らし、中国より日本に世話になっている。人間として(発動されても)やるわけがない」と語った。

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