【台北=西見由章】アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が15日に始まる南米ペルーの首都リマの空港で、台湾の半導体をアピールする看板広告が中国の圧力で撤去されていたことが分かった。台湾の中央通信社が同日伝えた。
同通信社が台湾当局者の話として報じたところでは、10月中旬、空港の税関手続き用の通路に電照看板が設置された。「TAIWAN」の大きな文字に半導体チップのデザインをあしらい、「世界の繁栄のために台湾と協力しよう」と英語で呼び掛ける内容だった。
ところが広告の掲出から約1週間後、中国側の圧力を受けて現地の広告会社が撤去を余儀なくされた。台湾の広告はリマ市内の大通りにも6カ所設置されているが、これらについては「(中国の)圧力は成功していない」という。
頼清徳政権はAPEC首脳会議に台湾代表として、自動車メーカーの元経営者で元行政院副院長(副首相に相当)の林信義氏を派遣した。頼政権は当初、副総統や行政院長(首相)を歴任した陳建仁氏の派遣を希望していたが、ホスト国のペルーが受け入れなかった。
リマ近郊に完成したチャンカイ港には、中国国有海運大手の中国遠洋海運集団(COSCO)が60%出資しており、「ペルーは中国の意向を尊重せざるを得ない」(台北の外交筋)事情がある。