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中国、台湾軍人を4カ月ぶり解放 釣り船で漂流、救助後に拘束 懸案決着に思惑も

産経ニュース 2024年8月7日 17時24分

【台北=西見由章】今年3月に中国海警局が台湾の離島、金門島沖で救助し、その後4カ月以上にわたって拘束を続けていた台湾の軍人が7日解放され、金門に戻った。中台間では2月に台湾当局が追跡していた中国漁船が転覆し2人が死亡した事故の処理を巡り、7月末に合意したばかり。ここにきて中台の懸案事項が相次いで決着した背景には、関係を安定させたい中国側の思惑もありそうだ。

中国国営新華社通信によると、中国側の調査を受けていたのは金門の台湾軍部隊に所属していた胡鉤翔(こ・こうしょう)氏。3月18日、金門と中国福建省の間の海域で釣り船のエンジンが止まり漂流していたところを救助された。別の男性1人は金門に送り返されたが、胡氏は現役軍人だったために拘束が続いていた。

胡氏は5月、家族の協力で除隊を申請。台湾で対中政策を主管する大陸委員会は6月、中国による長期拘束は「人道に背く」として抗議を表明していた。

中国側には国内経済の低迷や11月の米大統領選を踏まえ、対外的な緊張を緩和したい思惑がある。一方で国内世論を意識し、「一つの中国」原則を認めない台湾の頼清徳政権に対する「グレーゾーン作戦」などを通じた統一圧力は継続するとみられる。

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