【北京=三塚聖平】中国南部、広東省珠海市で昨年11月に35人が死亡した自動車暴走事件で死刑判決を受けた樊維秋(はん・いしゅう)死刑囚の死刑が20日執行された。中国国営新華社通信が伝えた。新華社は同日、中国東部、江蘇省無錫市の学校で昨年11月に無差別に8人を切り付けて殺害した男の死刑も同日執行されたと伝えた。
いずれも事件発生からわずか2カ月余りでの死刑執行となった。中国各地で頻発した無差別殺傷事件に厳罰で臨む姿勢を示し、再発を防ぐ狙いがあるとみられる。習近平国家主席は昨年11月、珠海市の事件を受けて「法に基づき犯人を厳しく処罰しなければならない」などとする重要指示を出しており、司法当局が対応を急いだとみられる。
珠海の事件は昨年11月11日にスポーツ施設で発生。樊被告が運転する乗用車が暴走して多数の死傷者を出した。12月27日に珠海市の中級人民法院(地裁)が死刑判決を言い渡していた。裁判所は、結婚生活が破綻した樊被告が、離婚後の財産分与の結果に不満を持ち、鬱憤を晴らそうと事件を起こしたと認定。「社会への危害は極めて大きい」と断罪している。
無錫の事件は11月16日に職業教育を行う学校で発生した。学校に通っていた男が試験に失敗して卒業証書を受け取れなかったことや、実習先での待遇に不満を持っていたと伝えられている。新華社によると、無錫の中級人民法院(地裁)が12月17日に死刑判決を言い渡していた。