パリ五輪では、海外の選手らも交流サイト(SNS)での誹謗中傷の被害に苦しんでいる。
「中国のSNSユーザーが、金メダル獲得に失敗した選手を非難している」
米政府系放送「ラジオ・フリー・アジア」(RFA)は7月30日の記事で、中国選手への中傷を報じた。中国はパリ五輪の序盤戦で金メダル獲得数が伸び悩んだ。中でも非難を集めたのが、体操男子の蘇煒徳選手だ。蘇選手は日本と金メダルを争った団体総合の最終種目の鉄棒で2度落下。中国は目前に迫っていた3大会ぶりの金メダル獲得を逃した。中国のSNS「微博(ウェイボ)」では「引退しろ」などと批判が殺到。蘇選手は謝罪に追い込まれた。
選手の人種や性別、外見を巡る悪質な書き込みも多い。7人制女子ラグビー米国代表のイロナ・マーハ選手には「太り過ぎ」などと体形を揶揄(やゆ)する言葉が相次いだ。だが、米国は3位決定戦で勝利し銅メダルを獲得。マーハ選手は米CBSニュースに対し、「嫌がらせをする人たちが原動力になった」と語った。
一方、中傷被害は選手以外にも広がる。開会式に出演した性的少数者の活動家でDJのバルバラ・ブッチさんは、ネット上で中傷や殺害脅迫を受けたとして告訴。パリ当局が捜査を開始した。ブッチさんは「私は黙らない」などと訴えた。(本間英士)