【北京=三塚聖平】自民党の石破茂総裁に関し、中国は外交・安全保障政策を「タカ派」と警戒し、台湾問題では「親台派」として牽制している。一方で、歴史問題などでは折り合うことが可能だとみて一定の期待感もあり、まずは石破氏の対中政策のスタンスを見極めようとしているようだ。
中国側は、石破氏が主張する「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」構想を注視する。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は27日、同構想について「中国側は警戒を保つべきだ」とする専門家の見方を伝えた。米国が同盟国などとアジア太平洋地域で進める「対中包囲網」の強化・拡大につながると懸念しているとみられる。
また、石破氏は今年8月に台湾を訪問して頼清徳総統と会談しており、中国側では「親台分子」との見方が広がる。中国の政策研究機関も関与するニュースサイト「観察者網」は、台湾問題について「本当に戦争リスクをはらむ『地雷原』だ」と強調し、石破氏に関与しないよう警告した。
一方で、環球時報は「石破氏は保守派に属するものの、政策主張は相対的に穏健的でバランスがとれている」として「中国側との防衛対話や交流を通じた信頼醸成と疑念払拭も望んでいる」とする別の専門家の見方を伝えた。
中国側には「日本の極右政治屋の代表的人物の1人」とみなしていた高市早苗経済安全保障担当相が自民党総裁選で敗北したことへの安堵感もあるとみられる。
中国側は特に靖国神社参拝に石破氏が距離を置いていることを評価しており、香港メディアの「香港01」は、石破氏の歴史問題への態度について「中国やその他の関係国に比較的容易に受け入れられる」との見方を示した。