【北京=三塚聖平】中国国営新華社通信は31日、南シナ海で中国海軍の空母2隻の艦隊が参加した訓練が初めて行われたと伝えた。参加したのは「遼寧」と「山東」の艦隊だが、訓練の実施時期など詳細は明らかにしていない。台湾問題で中国への圧力を増している米国を念頭に、海軍力を強化する取り組みの一環だとみられる。
訓練で「空母艦隊の作戦能力の向上」を進めたとしている。新華社は、遼寧が黄海や東シナ海、南シナ海など遠海での訓練を終え、このほど母港に戻ったと伝えている。一連の訓練は9月中旬の中秋節や10月上旬の国慶節(建国記念日)を挟んで行われたとしている。
遼寧は、旧ソ連製を改修して2012年に就役した中国初の空母。今年9月に中国の空母として初めて日本の接続水域を通過したほか、10月14日には中国軍が台湾を取り囲む形の海空域で行った軍事演習にも参加した。山東は19年に就役した中国初の国産空母だ。
中国は台湾有事での米軍の介入を阻止するため海軍力の強化を進めており、今年5月には3隻目となる新型空母の「福建」が初の試験航行を行っている。