Infoseek 楽天

中国恒例「独身の日」 ネット通販セール「最長」商戦も消費不振 お祭りムードみられず

産経ニュース 2024年11月11日 16時49分

【北京=三塚聖平】中国のインターネット通販各社による毎年恒例の値引きセール「独身の日」が11日にピークを迎えた。今年は期間を延長して10月前半から開始。約1カ月間の「史上最長」の商戦となったが、中国経済を襲う消費不振の影響もあって、以前のようなお祭りムードは感じられなくなっている。

前倒しで10月14日開始

独身の日セールは、2009年にネット通販最大手のアリババ集団が始めた。中国で独身を意味する数字の「1」が4つ並ぶ11月11日を「独身の日」と呼ぶことにちなむ。当初の「独身者が自分にプレゼントを贈る」という位置づけは薄まり、京東集団(JDドット・コム)など競合他社も追随して国民的な消費イベントになった。

従来は11月11日限定だったセールは徐々に期間が延ばされ、最近ではスタートが10月後半に繰り上げられていた。売り上げを確保するための措置とみられる。今年はさらに前倒しされ、アリババと京東は10月14日にセールを始めた。

ただ、アリババは今年、300億元(約6400億円)の割引券も投入したものの、かつての熱気は感じられない。中国紙、第一財経日報(電子版)は「一部の販売業者は独身の日セールの祝祭感が薄らいだと考えている」と指摘する。

中国当局が進めた大手ネット企業に対する統制強化で販促活動が落ち着いたことに加え、不動産不況を背景とした景気低迷も影を落としている。不動産価格の下落が消費を冷やす逆資産効果もあり、高額商品は売れにくい状況にある。

「以旧換新」に期待

第一財経は「独身の日セールでは理性的な消費傾向が見られ、コストパフォーマンスがより重視されている」と強調する。河北省の主婦(40)は「今は誰もが盲目的に消費するようなことはなくなっている。自分もむやみに散財することはない」と冷静だ。

一方で、今回のセールで追い風と期待されるのは、政府が進める家電などの買い替え促進支援策だ。中国語で「以旧換新」という。

パナソニックホールディングスの本間哲朗副社長は今月6日に上海市で記者団に対し、今年のセールでは支援策の恩恵を受けて対象商品の洗濯機や冷蔵庫といった白物家電が好調に推移していると明らかにした。セールの手応えについては「足元は比較的好調だ」と述べると同時に「終わってみないとわからない」と慎重な見方も示した。

この記事の関連ニュース