アジアの民族自決権の確立を掲げる一般社団法人「アジア自由民主連帯協議会」は17日、東京都文京区で集会を開いた。ウイグルやカンボジアなどの民主活動家らが参加し、母国の家族らに対する当局の圧力が例年以上に強まっている現状などが報告された。
文化を強制的に同化
ウイグル文化センターのイリハム・マハムティ氏は、新疆ウイグル自治区で中国当局によるウイグル人の漢化政策が進んでいる現状を説明した。日本人支援者らには「ウイグルだけの問題ではない。民族を消滅させる手法は外国に輸出されてしまう。自分自身に将来やってきたらどうするかを考えてほしい」と訴えた。
南モンゴルクリルタイのオルホノド・ダイチン氏も、内モンゴル自治区で漢語教育が強化されている実態を指摘し、「文化も強制的に同化されている。最近はモンゴル人の文化を(漢族の言葉の)『北疆文化』だと宣伝している」などと危機感を口にした。
中国の民主化を目指す団体「民主中国陣線」の羅金龍氏は、「中国では数十万人の学生が自転車で移動し、自由と民主主義を求めて声を上げる『自転車革命』が起きている。(1989年の)天安門事件以来の大規模抗議の波として広がっている」との見方を示し、「日本のように政権与党と野党が共存し、自由と人権が尊重される民主主義国家になることを願っている」と述べた。
弟を武器に兄を脅迫
在日カンボジア救国活動の会の露木ピアラ氏は、同会代表だった男性が最近、政権側へ転向を余儀なくされた事例を紹介した。元代表の弟が8月にカンボジアで逮捕されたといい、「兄が活動を止めて、与党カンボジア人民党に入党しないと罪が重くなると脅迫を受けていた」と述べ、「独裁政権が圧力かけても、カンボジアの民主主義を目指すために活動をあきらめない」と強調した。
協議会理事長で、評論家の三浦小太郎氏は、この日の集会でチベット人活動家の参加が取りやめになったとし、「チベットに残っている家族に脅迫が行われている。国外で活動する人への圧迫は最近非常に強く行われている」と指摘した。
協議会のペマ・ギャルポ会長は、日本に留学などした中華民国創建の父、孫文やミャンマーの民主派指導者、アウンサンスーチー氏らを挙げて、「かつてアジアのリーダーは日本が育てた。ただ近年は中国の民主化運動家が来ても結局海外に行ってしまう」と日本社会の理解を求めた。(奥原慎平)