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「改造車内で若い兵士の腎臓と眼球摘出」 元中国医師が「臓器狩り」証言、台湾で会見

産経ニュース 2024年7月15日 21時10分

【台北=西見由章】台湾の立法委員(国会議員に相当)や民間団体が15日記者会見し、中国でドナーの同意を得ない「生体臓器の収奪」と違法な臓器移植が横行しているとして、規制のための立法を各国に呼び掛けた。会見では中国の元医師でカナダ在住の鄭治氏が、中国軍の病院で自ら目撃した臓器摘出の実態について生々しく証言した。

鄭氏によると、臨床実習生として遼寧省の瀋陽軍区総医院(現北部戦区総医院)に勤務していた1994年、上司に「秘密軍事任務」への参加を命じられた。当時18歳に満たない兵士から臓器を摘出し、軍高官に移植する手術だったという。

手術は臓器摘出のために改造された車両の中で行われた。手足を縛られた若い兵士が軍の監獄から車内に運ばれ、麻酔を使わないまま左右の腎臓が摘出された。鄭氏は眼球を取り出すよう命じられたが、恐怖で何もできず、別の医師が行ったという。鄭氏は「兵士の目はまだ動いており、私をじっと見ていた」と言葉を詰まらせながら振り返った。

中国当局の「臓器狩り」疑惑を巡っては、当局が邪教とみなす気功集団「法輪功」の信者が対象になっていると指摘されてきた。鄭氏は2005年、家族と親しかった中国共産党政治局員の側近から「湖北省武漢にある省公安局の地下には法輪功の信者がぎっしりと収容され、未成年者も含まれている」と聞いたという。

こうした状況に衝撃を受けた鄭氏は同年出国し、カナダ政府に保護された。

カナダの元閣僚や弁護士らが16年にまとめた報告書は、中国当局が年間6万~10万件の臓器移植を実施していると推計し、臓器の供給源がウイグル人やチベット人、法輪功信者らだと指摘している。また国連人権理事会の特別報告者は21年、中国当局が囚人から同意を得ずに臓器を摘出している懸念があるとして、独立機関による調査を受け入れるよう中国政府に求めたが、中国側は否定し調査を拒否した。

記者会見を主催した台湾の与党・民主進歩党の許智傑立法委員は、中国の臓器収奪に歯止めをかけるための法整備を超党派で進める意向を示し、第二野党、台湾民衆党の陳昭姿立法委員も賛同した。

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