【台北=西見由章】台湾の頼清徳総統は3日、太平洋島嶼(とうしょ)国3カ国への歴訪の1カ国目としてマーシャル諸島に到着し、ハイネ大統領らが空港で出迎えた。頼氏は議会で演説し、保有機の老朽化が進む国有航空会社への資金支援を表明した。総統府が発表した。台湾が外交関係を持つ国々に対し中国が断交を働きかける中、つなぎとめを図る狙いがありそうだ。
頼氏は演説で、マーシャル諸島航空の保有機が老朽化している問題に言及し「新たな航空機の購入に向けて、優遇融資を喜んで提供したい」と語った。マーシャル諸島が今年、太平洋諸島フォーラム年次総会や国連総会などの場で「台湾のために声を上げてくれた」ことに謝意も示した。
マーシャル諸島は29の環礁と5つの島で構成され、推定人口は約4万1000人。第一次大戦後は日本の委任統治領、第二次大戦後は米国の信託統治領となり、1986年に独立した。米国との自由連合協定により防衛を米国に委ね、財政援助も受けている。
台湾と外交関係を持つ12カ国のうち太平洋島嶼国は中南米・カリブ諸国に次いで多い。ただ近年は中国が切り崩し工作を進め、2019年にキリバスとソロモン諸島が、24年1月にはナウルが台湾と断交した。