【北京=三塚聖平】中国の趙志遠(ちょう・しえん)外務次官補は7日、パナマの駐中国大使と会談し、同国が中国の巨大経済圏構想「一帯一路」から離脱することを決めたことに厳重な抗議を行った。中国外務省が8日発表した。趙氏は「深い遺憾」の意を示し、「外部からの干渉を排除し、正しい決定を下すことを望む」とパナマ側に求めた。
趙氏は「一帯一路の枠組みの下で中国・パナマの各分野で実務協力が急速に拡大し、一連の多大な成果をあげた」と訴えた。パナマ側の決定は「パナマの利益に合致しない」と主張した。
米国に対しては「圧力と脅迫という手段を通じて中国とパナマの関係を破壊し、一帯一路の共同建設に関する協力を中傷、破壊している」と非難。「断固とした反対」を表明した。
中国外務省によると、パナマ側は「パナマは対中関係を重視している」との考えを示した。
ロイター通信によると、パナマのムリノ大統領は6日、正式に一帯一路から離脱する文書を中国側に提出したと明らかにした。パナマ政府は、パナマ運河を巡る中国の影響力排除を狙うトランプ米大統領の圧力にさらされており、それが一帯一路からの離脱につながったとみられている。ムリノ氏は今月2日にルビオ米国務長官と会談しているが、米国が離脱を求めたという見方については否定している。