【上海=三塚聖平】中国・上海市で5日、外国企業が製品や技術を展示する「中国国際輸入博覧会」が開幕した。中国最大級の総合見本市で、中国政府によると129カ国・地域から約3500社が出展している。同日に行われた開幕式で李強(り・きょう)首相が演説し、対中圧力を増している米国などをにらんで対外開放の姿勢をアピールした。
グローバルサウス取り込みに躍起
輸入博は2018年に始まり、今年で7回目の開催。出展企業は、中国市場へ売り込みたい製品や技術、サービスを展示している。会期は10日まで。
李氏は、開幕式の演説で「一国主義や保護主義が明らかに台頭している」と述べ、名指しは避けつつも対中関税の引き上げなどを進めている米国などを暗に批判した。その上で「開放を堅持、拡大、向上することによって、永続的な平和、安定、発展、繁栄を真に推し進めることができる」と訴えた。
李氏は「発展途上国がグローバル化の恩恵をより良く分かち合うことを後押しする」と強調した。中国は現在、米欧への対抗という観点からもグローバルサウス(南半球を中心とする新興・途上国)の取り込みに力を入れている。開幕式には、マレーシアのアンワル首相のほか、カザフスタンやセルビア、モンゴルなどの首相らが出席した。
経済成長率目標5%に自信
会場では日米欧を中心とした大企業に加えて、ロシアなど中国と関係が緊密な国からの出展も目立った。歯ブラシなど口腔(こうくう)ケア用品を扱うロシア企業の女性担当者は「中国市場は競争が激しい困難な市場だが、良好な両国関係は事業にとってプラスに働いている」と期待を示した。
一方で、中国経済を巡っては、不動産不況を背景とした景気鈍化が指摘される。中国共産党・政府は9月下旬以降、大規模な金融緩和のほか、不動産市場の支援策を打ち出すなど景気対策を重視する姿勢に転じている。
李氏は演説で、一連の景気対策により「経済運営に多くの前向きな変化が生じている」と述べた。その上で、中国の財政、金融政策にはまだ余地があるなどとして、今年の経済成長率目標「5%前後」の達成について「自信に満ちている」と強調した。
中国政府には、輸入博を通じて対外開放の姿勢をアピールすることにより海外から投資を呼び込み、景気回復につなげる狙いもある。