ロシア中部カザンの裁判所は、ウクライナ侵略に関する「虚偽情報」を拡散したとする罪などで、米政府系メディア「ラジオ自由欧州・ラジオ自由（ＲＦＥ・ＲＬ）」の女性編集者、アルス・クルマシェワ氏＝米露二重国籍＝に禁錮６年半の実刑判決を言い渡した。判決は１９日付。タス通信が２２日に伝えた。
１９日には、ロシアの別の裁判所が、米紙ウォールストリート・ジャーナル（ＷＳＪ）のモスクワ特派員、エバン・ゲルシコビッチ記者＝米国籍＝にスパイ罪で禁錮１６年の実刑判決を言い渡した。両判決は、ロシアが対立する欧米側メディア関係者への圧力を強めている実態を改めて浮き彫りにした。
ＲＦＥ・ＲＬはクルマシェワ氏に対する有罪判決を非難し、釈放を求める声明を出した。ＲＦＥ・ＲＬなどによると、チェコを拠点に活動していたクルマシェワ氏は昨年５月、家族の事情でロシアに入国。その後、スパイと同義で活動が露当局の監視下に置かれる「外国の代理人」制度の手続きに違反した罪や、ウクライナ侵略を批判する書籍を出版して「虚偽情報」を拡散した罪で起訴されていた。（小野田雄一）