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サイバー攻撃は国際情勢と連動 露、仏の信頼落とす目的も 中曽根平和研究所・大沢淳氏

産経ニュース 2024年7月24日 18時16分

26日に開幕するパリ五輪の期間中に、ロシアなどから大会関係者らへのサイバー攻撃が警戒されている。国際情勢とサイバー問題に詳しい中曽根康弘世界平和研究所の大沢淳主任研究員に話を聞いた。

サイバー攻撃は国際情勢と連動し、2国間関係が悪い国は集中的に狙われる。パリ五輪を開催するフランスは、ロシアが侵略するウクライナに軍事支援などを続け、対露関係が悪い状況にある。ロシアはフランスの国際的な信頼を落とす目的でパリ五輪の開催を狙ってサイバー攻撃を仕掛ける可能性が非常に高い。

パリ五輪委員会はIT技術者など120人規模で大会運営に必要なシステムの防護に当たり、同時に国家情報システムセキュリティー庁(ANSSI)を中心に公共交通機関などの重要インフラへのサイバー攻撃に備えるという。

2021年の東京五輪で、ロシアは軍の専門部隊を使って、大会開幕の約1年前から日本側のシステムへの侵入活動を繰り返していた。米国が20年に露軍の情報機関要員6人を東京五輪の妨害を狙ったサイバー攻撃に関与したとして司法訴追し、連携していた英国とともにロシアの攻撃内容を同日公表した。犯行グループを特定し、手口を明らかにする能動的サイバー防御の一環だ。

米国はパリ五輪でも、国土安全保障省のサイバー・インフラ安全局(CISA)が仏側に全面協力するなど、東京五輪と同様に国際支援体制が取られている。それでも、大量のデータを送り付けて機能を停止させる「DDoS攻撃」で、競技の映像配信が妨害されるなどの混乱が生じる懸念は残るだろう。(聞き手 岡田美月)

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