ロシアの侵略を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は21日、スイスで開催中の世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で演説した。将来的な停戦交渉でロシアがウクライナ軍の規模を現在の5分の1に縮小するよう求める可能性があるとした上で「われわれはこれに同意しない」と述べた。欧州はウクライナと連帯し、ロシアの脅威から自身を守る力を身に着けるべきだとする見解も示した。
米国でウクライナ戦争の早期停戦を掲げるトランプ大統領が就任し、ウクライナに対する停戦圧力を強める可能性も指摘される中、ゼレンスキー氏は機先を制して安易な譲歩には応じないとする立場を示した形だ。ロシアは侵略開始直後の停戦交渉でウクライナに大幅な戦力削減を要求し、現在もウクライナの「非軍事化」を戦略目標の一つに掲げている。
ゼレンスキー氏はまた、欧州が米国から軽視されないようにし、かつロシアの脅威に対抗するためには、軍事面や経済面での存在感と自立能力を高める必要があると指摘。ウクライナとの協力がそうした目標達成に寄与すると訴えた。(小野田雄一)