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「わが国には大きなリセットが必要」 英総選挙で労働党圧勝 スターマー首相が就任

産経ニュース 2024年7月5日 21時30分

【ロンドン=黒瀬悦成】英下院(定数650)総選挙は4日投開票が行われ、スターマー党首率いる最大野党の労働党が410議席以上を獲得して地滑り的勝利を収めた。スターマー氏は5日、チャールズ国王の指名で首相に就任し、14年ぶりに政権が交代した。スナク前首相率いる与党の保守党は過去100年以上で最大の惨敗を喫した。

スターマー新首相は官邸前で演説し「わが国には大きなリセットが必要だ」と述べ、全ての国民に協力を呼びかけた。

英BBC放送によると5日午後1時(日本時間午後9時)現在の獲得議席は労働党412、保守党121、自由民主党71、リフォームUK4など。投票率は60%。

保守党はトラス前首相に加え、シャップス国防相、チョーク法相ら12人の閣僚が落選した。スナク氏は「敗北の責任をとる」と述べ、保守党の党首辞任を表明した。

選挙戦では物価高騰への対応や経済の再建、不法移民対策などが争点となった。労働党は、保守党のジョンソン元政権下での新型コロナウイルス対策の迷走や、トラス元政権による財源の裏付けのない減税政策が引き起こした経済の混乱などを「失政」と断じ、「チェンジ(変革)」を掲げて有権者を引き付けた。

下院議員の任期は5年で、規定により2019年12月の前回総選挙から数えて25年1月までに総選挙実施が予定されていた。支持低迷に悩んでいたスナク氏は5月22日、インフレの沈静化にめどがついたとして解散を表明。ただ、支持率は全く上昇せず、解散は「政治的自殺」と評された。

総選挙では「反移民」を掲げる大衆迎合政治家のナイジェル・ファラージ氏が率いる右派政党、リフォームUKが議席を増やした。中道政党の自由民主党は第三党につけた。スコットランド独立運動を牽引してきた地域政党のスコットランド民族党(SNP)は大幅に議席を減らし、独立機運の後退が予想される。

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