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ゼレンスキー氏が英仏首脳と会談 トランプ氏当選を視野に「勝利計画」への支持取り付けへ

産経ニュース 2024年10月11日 8時58分

【ロンドン=黒瀬悦成】ロシアに侵略されたウクライナのゼレンスキー大統領は10日、欧州歴訪を開始し、英国とフランスでスターマー英首相、マクロン仏大統領とそれぞれ会談した。ゼレンスキー氏は歴訪を通じ、各国から軍事支援強化の確約と、戦争終結に向けてウクライナが策定した「勝利計画」への支持を取り付けたい考えだ。

英メディアなどによると、ゼレンスキー氏はスターマー氏との会談で、戦勝計画の説明に加え、英国がウクライナに供与した巡航ミサイル「ストームシャドー」などの長距離攻撃兵器について露領内に対する使用制限を撤廃するよう改めて要請した。

1日に就任した北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長も会談に同席した。ルッテ氏が就任後、NATO加盟国を訪れるのは初めて。ルッテ氏は会談後、記者団に「ウクライナを支援することは、NATO加盟各国にとって死活的に重要だ」と訴えた。

戦況については、ロシア軍がウクライナ東部で徐々に前進しており、情勢は「厳しい」との認識を示した。ウクライナによるロシアへの越境攻撃は「合法的行動だ」と明言しつつ、長距離兵器の使用制限の緩和の判断は「供与国次第だ」と述べるにとどめた。

ゼレンスキー氏は英仏に続いてイタリアとドイツも訪問。11日のショルツ独首相との会談ではドイツが主導する弾薬の増産などが議題となる見通しだ。

ゼレンスキー氏としては投開票まで1カ月を切った米大統領選でウクライナ支援に懐疑的な共和党のトランプ前大統領が当選した場合を想定し、米欧の主要国との間でウクライナ支援の継続と、ロシアに侵略の利得を与えない形での戦争の終結に向けた合意を固めておきたい思惑がある。

トランプ氏は先月27日にニューヨークでゼレンスキー氏と会談した際、「戦争は終わらせるべきだ」「私なら直ちに終結させられる」と戦いの幕引きに前のめりな姿勢を鮮明にしていた。これに危機感を強めたゼレンスキー氏が今回の歴訪で改めて支持固めに走ったとみられる。

ただ、バイデン米大統領も含め12日にドイツで予定された米英独仏首脳とゼレンスキー氏との会談は、バイデン氏が米南部を襲ったハリケーンの対応のため出席できないとして見送られ、ゼレンスキー氏としては目算が外れた恰好だ。

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