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仏下院選投票開始 極右最大勢力の勢い パリ五輪前に政局混乱

産経ニュース 2024年6月30日 13時5分

【パリ=板東和正】フランスの国民議会(下院、定数577)選の第1回投票が30日、開始する。移民の制限などを掲げる極右政党「国民連合(RN)」が最大勢力となる勢いで、マクロン仏大統領率いる与党連合は議席を大幅に減らす可能性が高い。7月下旬に開会するパリ五輪を前にフランスの政局は混乱に陥っている。

マクロン氏は9日に開票された欧州議会選でRNに大敗したことを受け、「国民に信を問う」ため国民議会を解散。下院選に踏み切った。

28日の仏調査会社IFOPによると、第1回投票での投票先としてRNを選んだ人は36・5%と首位。極左や環境派などから成る左派連合「新人民戦線」は29%。与党連合は20・5%と3位に沈む。解散前の議席数が250議席と最大勢力だった与党連合は150議席以上を失うとみられる。

下院選は小選挙区制で第1回投票で過半数獲得の候補者がいなければ有権者の12・5%以上の支持を得た候補者が7月7日の決選投票に進む。大半の選挙区で決選投票にもつれ込むとみられるが、与党連合の多くの候補者が決選投票に進めない可能性がある。

フランスの政治制度では、大統領は議会の多数派の党から首相を指名する仕組み。与党連合が下院選で最大勢力の座を維持できなければ、大統領が党派の異なる首相と共存する「コアビタシオン」と呼ばれるねじれ状態に陥る。首相が内政を担当するため、移民政策やウクライナ支援の予算などをめぐる大統領の政策遂行力が制限される。

RNのバルデラ党首は「政権を担う準備はできている」と強調。下院選でRNが過半数の議席を獲得した場合、首相就任を希望する意向を示す。 バルデラ氏は移民政策で、国内で生まれた外国人の子供が18歳になると国籍を得られる現行の仕組みの廃止を主張。ウクライナ支援では仏軍の派遣や長距離ミサイルの供与に反対の姿勢を表明している。仏軍要員のウクライナ派遣などを掲げているマクロン氏と対立する可能性がある。

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