【ロンドン=黒瀬悦成】ヘンリー英王子がタブロイド紙サンの発行元を相手取って起こしていた損害賠償請求訴訟に関する和解が22日成立した。英メディアが報じた。発行元は声明で、私立探偵を使って違法な情報収集をしていたことを認めて「全面的な謝罪」を表明した。英BBC放送によると、発行元が王子に「多額の賠償金」を支払うことで合意した。具体的な金額は明らかでない。
ヘンリー王子は、メディア王ルパート・マードック氏が率いるニュース・コープの英国事業「ニュース・グループ・ニュースペーパーズ」(NGN)を発行元とする大衆紙のサンとニューズ・オブ・ザ・ワールド(廃刊)の記者や私立探偵から電話盗聴などの違法な取材活動を仕掛けられたとして訴えていた。
NGNは22日の声明で、サン紙が1996年~2011年に違法な取材活動を展開し、「王子の私生活を侵害した」と指摘。また、記者や私立探偵による電話のハッキング、監視、個人情報の悪用などがあったとして「全面的かつ明白に謝罪する」とした。
声明はさらに、ヘンリー王子の母親である故ダイアナ妃に対するプライバシーを侵害する報道を認めて謝罪した。
王子の弁護士は声明で和解について「記念すべき勝利だ」とした。