【パリ=三井美奈】スペイン政府は28日の閣議で、気候災害の際に労働者に最大4日間の有給休暇を認める方針を決めた。10月末、東部バレンシア州で起きた洪水で220人以上の死者を出したことがきっかけになった。
発表によると、この制度は天災が起きたり、災害警報が発令されたりしたときを想定。安全な出勤が不可能で、テレワークもできない場合に申請できる。有給対象の4日間が過ぎた後は、既存の制度で時短労働が可能だとしている。
公共放送TVEによると、ディアス労働相は「天災時に無理な出勤をしてはいけない。本人の危険にとどまらず、他人を巻き込むおそれがある」と強調した。「気候災害有給」はカナダをモデルにしたという。政府は労使交渉の際、天災時への対応を協議するよう促している。
サンチェス首相は閣議を前に、洪水被災地支援として23億ユーロ(約3600億円)の拠出を発表。復興費総額は計166億ユーロ(約2兆6000億円)になった。欧州では近年、異常気象による干魃(かんばつ)や洪水が相次いでいる。