スペインを代表する観光都市バルセロナで6日、住民がオーバーツーリズムに抗議して、観光客に水鉄砲を浴びせるデモを行った。同国紙パイスによると、約2800人が参加した。
デモ参加者は「外国人は帰れ」「観光で都市が死ぬ」などと書いた紙を掲げて大通りを行進した。米欧テレビは今週、観光客がカフェで食事中に水鉄砲を浴び、退散する様子を一斉に報じた。
バルセロナは世界遺産サグラダ・ファミリア教会など建築家アントニ・ガウディの作品群で知られ、観光客数は年々増加している。地元当局の集計で、市と周辺部を訪れた人は約2600万人にのぼった。
一方、市の人口は約160万人。民泊の急増で家賃が高騰し、若者や高齢者の住居問題が深刻化している。観光業中心の経済対策にも不満が出ていた。
抗議運動の広がりを受け、バルセロナのコルボニ市長は6月、2028年11月までに短期賃貸アパート約1万戸の認可を取り消すと表明。オーバーツーリズムへの対策を公約した。観光税の引き上げ、クルーズ船の就航制限などの方策も打ち出した。
スペインでは国内総生産(GDP)の12%を観光業が占める。昨年は、国人口の約1・8倍にあたる8510万人の外国人客が訪れた。オーバーツーリズムへの抗議デモが、マヨルカ島など各観光地で広がっている。