東欧の旧ソ連構成国モルドバで3日、大統領選(任期4年)の決選投票が行われた。中央選管によると、2期目を目指した親欧米派のサンドゥ現大統領が55・4%の得票率で、親ロシア派政党に支援された元検事総長、ストヤノグロ氏(得票率44・6%)に勝利した。投票率は54・3%。サンドゥ氏の再選で、モルドバが欧州統合路線を継続することが決まった。
サンドゥ氏は4日、「われわれは団結と民主主義、尊厳ある未来への責任を示した。自由で希望を持つ国民に奉仕できることを誇りに思う」とX(旧ツイッター)に投稿し、勝利を宣言した。
隣国ウクライナのゼレンスキー大統領はサンドゥ氏の勝利を祝福した。サンドゥ氏はロシアによるウクライナ侵略を非難し、ウクライナとの団結を訴えてきた。
サンドゥ政権高官のセクリエル氏は開票に先立ち、「(サンドゥ氏の敗北を狙う)ロシアによる大規模な選挙干渉を確認している」とXに投稿。「選挙結果がゆがむ可能性が非常に高い」とも指摘した。一方、露国営タス通信によると、ストヤノグロ氏も投票終了後、「サンドゥ氏陣営による選挙違反があった」と主張した。モルドバでは国外在住の国民が多い中、中央選管が欧米諸国に多数の投票所を開設した一方、ロシアには2カ所しか開設しなかったことを問題視したという。
モルドバでは親欧米派と親露派の政治勢力による政権交代が繰り返されてきた。2020年の前回選で親露派候補に勝ち、22年にモルドバの「欧州連合(EU)加盟候補国」の地位獲得を実現したサンドゥ氏は選挙戦で「国の未来は欧州にある」と訴えてきた。これに対し、ストヤノグロ氏は「モルドバにとってロシアも重要だ」と対露関係の改善を掲げていた。
先月20日に実施された1回目の投票では、11人の候補者中、サンドゥ氏が得票率42・4%で首位となり、ストヤノグロ氏が26%で2位につけた。当選には過半数の得票が必要で、決着は決選投票に持ち越されていた。
1回目の投票後、サンドゥ氏陣営は、ロシアと親露派が有権者を買収してサンドゥ氏への反対票を投じさせた証拠があると主張。ロシアは介入を否定した。(小野田雄一)