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わらにもすがるマクロン与党連合 移民たちの冷めた視線 パリの窓

産経ニュース 2024年7月5日 7時0分

「お時間ありますか」

6月30日に実施されたフランス国民議会(下院)総選挙の第1回投票の数日前。パリ市内を歩いていると、マクロン大統領率いる与党連合の関係者らしき女性に声をかけられた。女性は「私たちの政策について説明したい」と候補者のチラシを見せながら熱心に話しかけてきた。投票権がないと説明したが「なら、あなたの友人のフランス人に私たちのことを伝えてほしい」と食い下がった。

第1回投票は極右政党「国民連合(RN)」が得票率で首位となり、最大勢力の与党連合は3位に沈んだ。投票の前から世論調査で与党連合の劣勢は伝えられており、与党連合の候補者は一票でも多く獲得しようと必死に動いていたと聞く。

先日、パリ市内で会った、仏国籍を持たない中央アジアの移民だという男性も私と同じような体験をしたと明かし「与党連合はわらにもすがる思いなんだろう」と苦笑した。男性は「与党連合の連中はRNが移民を排斥する悪の組織だと言わんばかりだが、私は今のマクロン政権下でも良い暮らしはできていない。賃金は低くきつい暮らしだ」とこぼした。

「与党連合がRNに勝ったところでこの国は天国にはならない。選挙結果に何の興味もない」。男性の冷めた口調が耳に残った。(板東和正)

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