【バクー=小野田雄一】アゼルバイジャンの首都バクーで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は21日、主要議題である来年以降の国際的な気候変動対策資金の枠組み合意に向け、詰めの協議を始めた。ただ、気候資金を巡る先進国と途上国の立場の隔たりは深く、協議は難航が予想される。22日の閉幕までに結論が出ず、会議は延長されるとの観測も強まっている。
現在の気候資金の枠組みは、先進国が途上国を支援するために25年まで年間1千億ドル(約15兆5600億円)を拠出すると規定。COP29では、25年以降の新たな資金枠組みに関してどのような合意を結べるかが最大の焦点となっている。
新たな資金拠出の規模は従来の年間1千億ドルが下限となる。ただ、年間1兆ドル規模への増額を求める途上国と、大幅な増額に慎重である上、中国などの新興国も資金拠出に参加すべきだとする先進国の主張が対立し、議論は紛糾してきた。
21日に発表された成果文書の草案も、資金拠出の規模など複数の項目について今後の協議に委ねた。
一部の欧米メディアは、欧州連合(EU)が先進国による資金拠出を年間2千億~3千億ドルに設定する案を検討しているものの、途上国の理解を得られる可能性は低いと報じている。
日本代表団を率いる浅尾慶一郎環境相は20日、気候資金に関する新たな合意を達成し、日本が責任を果たす意欲を示した。ただ、日本政府関係者は「交渉は容易ではない」と認めた。