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友達をなくしたロシア 小学生の「予言」は当たるのか 赤の広場で

産経ニュース 2024年8月8日 7時0分

ロシアのウクライナ侵攻後、ある同業他社の特派員の帰任が決まり、送別を兼ねて彼の家族とモスクワ中心部から少し離れた飲食店に食事に行った。食事中、彼の小学校低学年の息子、K君は「ロシアが好き。また戻ってきたい」と話していた。帰宅するバスで、私はK君と隣同士に座った。

K君はその年頃の男の子らしく乗り物好きで、特にモスクワの地下鉄がお気に入りだった。K君はバスの中で、自身が空想で描いた地下鉄の発展予想図を見せてくれた。そこには線路が網のように縦横無尽に広がっていた。

私は「K君が今度モスクワに来るとき、そうなっていると良いね」と言った。すると「無理だと思います。戦争で友達を失ったロシアに投資する国はありません。きっと衰退していくでしょう」と言い返された。本質を突いているように思われ、はっとさせられた。

ロシアは「制裁を克服した」と誇示するが、欧米諸国の供給網から切り離された悪影響は今後、じわじわと表面化していくとの見方も強い。ロシアは友好国とみなしてきた国々の大半からも侵攻への支持を得られず、なりふり構わず北朝鮮やイランに接近している。

一度失った友達は戻ってくるのか、K君の「予言」は当たるのか-。ロシアを観察する私のテーマの一つだ。(小野田雄一)

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