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欧州各国、トランプ氏返り咲きで対米政策リセットの懸念 要求や威嚇の真意、慎重に見極め

産経ニュース 2025年1月21日 19時54分

20日、就任式が行われたトランプ米大統領の返り咲きは、欧州にとり、ロシアに侵略されたウクライナへの支援や欧州防衛、関税政策を含む政治や外交・安全保障、経済を巡る対米政策の全面的な「リセット」につながる恐れをはらむ。欧州各国は、トランプ氏が突き付ける要求や威嚇がどこまで本気なのか、慎重に見守っている。

トランプ氏は就任前の今月7日の記者会見で、デンマーク自治領グリーンランドの領有に意欲を示し、そのためには軍事的圧力も辞さない姿勢を打ち出した。発言の真意は定かでないが、武力に訴えてでも領土や勢力圏の拡大を目指すトランプ氏の覇権主義的な態度に欧州は困惑を隠せない。

特に、デンマークは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であるだけに、自国の権益拡大のために同盟国を恫喝するような振る舞いは、ロシアをにらんだ欧州防衛に向けたNATOの結束にも影響は不可避だ。

しかもトランプ氏は、NATO加盟国に対し、各国の国防費を国内総生産(GDP)比5%まで大幅に引き上げるよう要求する意向を表明した。

NATOは6月にオランダのハーグで予定される首脳会議で、加盟国の国防費支出の目標をGDP比2・5%に設定する方向で調整しているが、トランプ氏の要求はこれをはるかに上回る。ウクライナ戦争の性急な幕引きを訴える態度も含め、欧州を揺さぶる態度はプーチン露政権を利するだけとなりかねない。(ロンドン 黒瀬悦成)

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