【オスロ=黒瀬悦成】ノーベル平和賞を授与された日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の代表委員3人が受賞から一夜明けた11日、ノルウェーの首都オスロの首相府でストーレ首相と面会した。
面会後、代表委員の田中熙巳さん(92)とストーレ氏が共同記者会見し、田中さんは受賞について「ノルウェーの政府と国民全体から歓迎されているのを見て、涙が出るほどうれしく思う」と述べた。
また、面会では「(ストーレ氏が)核兵器の廃絶に強い思いを抱いていることを痛感した」と語った。
その上で、日本の核廃絶への取り組みに関し「石破茂首相にもお会いして、私たちの要請を強く伝えていく。日本は核兵器禁止条約に加盟し、核兵器をなくすことに指導力を発揮してほしい」と訴えた。核廃絶への意思に関しては「ノルウェーの首相を見習えと言いたい」とも付け加えた。
ウクライナを侵略したロシアのプーチン大統領が核兵器使用の威嚇を繰り返している問題に関しては「核兵器を使わないという緊急合意を確立しなければならない」とした。
一方、ストーレ氏は「被団協のおかげで被爆の実像を明確に知ることができた」と指摘。「核軍縮が再び(国際社会の)課題に据えられるべきだ。核保有国に対して核軍縮に取り組むよう圧力をかけなければならない」と述べ、米露に加え、核戦力の増強が著しい中国の3カ国は「非核化のための交渉に臨む義務がある」と強調した。