【ロンドン=黒瀬悦成】トランプ米大統領が領有に意欲を示すデンマークの自治領グリーンランドで、住民の圧倒的多数が米国に編入されることに反対していることが最新の世論調査で明らかになった。トランプ氏は「グリーンランドは米国の安全保障に必須だ」として強硬手段に訴えてでも取得する構えを示しているが、住民らは拒否の意思表示を突き付けた。
デンマーク紙のベリンスケとグリーンランドの地元紙セルミツィアクの委託で調査会社ベリアンが今月22~26日に実施した世論調査によると、85%が米国への編入を望まないと答えた。米国に領有されるのが望ましいとの回答は6%にとどまった。「どちらともいえない」は9%だった。
また、デンマーク国籍と米国籍のいずれかを選ばなければならない場合、「米国籍を選ぶ」とした回答は8%で、「デンマーク国籍を選ぶ」の55%を大きく下回った。一方で、グリーンランドのデンマークからの独立を唱える世論が根強いことを反映し、「どちらともいえない」も37%だった。
デンマークのフレデリクセン首相は28日、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長と会談し、グリーンランドを含む北極圏の防衛強化で合意した。会談では北極圏を守るために「全ての同盟国が貢献を果たすことで一致した」としている。フレデリクセン氏は同日、フランスのマクロン大統領やドイツのショルツ首相とも会談し、国境線尊重の原則の維持に向けた全面支援の確約を得た。